前回までで何をテーマに絵本を作成するのか考えました。
それを踏まえて復習もかねて、書き出します。
1.題材を決める
最近人気の動物や食べ物、トピックなどを扱うのもいいでしょう。
ほかにも、ご自身が好きなものやライフワークとして取り組んでいること、趣味、マイブームなどを題材として扱うのもいいと思います。
2.読者ターゲットを決める
テーマやモチーフが決まったら、一緒にどのような読者が手に取るかも考えましょう。
子ども用絵本といえども、0~6歳児向けとさまざま。
学齢期を迎える前の子どもは、数カ月の差で発達が大きく異なります。
「この本は1歳児向けにしよう」と思ったら、複雑なストーリーは避けて、色や語感で楽しめる作品にしたほうがいいかもしれません。
5~6歳向けの絵本にするなら、冒険物などストーリー性を持たせると、ワクワクとした雰囲気で子どもたちもページをめくれます。
この時点で、読者のことも考えられると、より良い絵本作品になりやすいでしょう。
3.登場人物を考える
次は、登場人物を考えましょう。
主人公は誰にするのか。
女の子か、男の子か、魔法使いか、妖精か、おじいさんか、おばあさんか、小人か……。
ぜひ好きなキャラクターを選んでください。
人間以外が主人公でもいいでしょう。
犬、猫、うさぎ、ヘビなどの動物から、イス、財布、タオル、ドア、水道の蛇口まで。絵本の世界であれば、何だって主人公になれます。
見慣れない登場人物が出てきたほうが、読者の興味を引くかもしれません。
作品の題材に合った登場人物を考え、そのキャラクターにどのような性格、特徴などを持たせるか熟考していきましょう。
4.起承転結を考える
ストーリーをつくるときに意識したいのが“起承転結”。
起……登場人物が置かれている状況説明
承……トラブルや事件の発生
転……作品内における大きな変化
結……物語の終わり
以上が、起承転結の主な中身です。
必ずしも、“起承転結”に沿って、ストーリーをつくる必要はありませんが、盛り上がりに欠けるストーリーなどはやはり“転”の部分にもっと力を入れたほうがいい、などということはあります。
わたしが使っている起承転結の代わりに使っているテンプレートはこちらです。
またエンディングも作品の余韻を感じるうえで重要な箇所。
子ども向け絵本の場合、だれもがハッピーな気持ちになれるような結末が喜ばれやすいのです。
ストーリーに自信を持てない人は、改めて自身の作品には“起承転結”があるか確認してみることをおすすめします。
5.誰かに読んでもらう
大まかなストーリーが完成したら、家族や友達などに読んでもらってください。
自分では「面白い」と思ったストーリーも、第三者の目から見てみると「こうしたほうがいいのでは……?」といったアドバイスが出てくるかもしれません。
実際に絵本出版賞でも入賞されている方の多くが、応募前に作品を誰かに読んでもらっています。
完成後に修正するのは手間もかかりますので、絵コンテなど早い段階で見てもらうといいでしょう。
「絵本を書きたいけれど、ストーリーが浮かばない」こういう方はたくさんおられるようです。
絵本の「ストーリー(おはなし)」の作り方についてです。
絵本にしても、童話にしても、テレビドラマでも映画でも、基本的に「ストーリー」の作り方に違いはありません。
共通しているのは「聞き手(受け手)」がいる、ということです。
「ストーリー」というのは、人に伝えるものである以上、受け手にどうしたら興味を持って、負担をかけずに、内容をうまく伝えられるか、考えて作る必要があります。
例えば、トランプの「ババ抜き」のルールを、あなたはどうやって説明しますか?
1参加者全員に均等にカードを配る
2参加者は同じ数字、記号の2枚の組み合わせのカードがあれば、手札から外す。
3参加者はお互いに手札が見えないようにして、順番に沿って相手の札を一枚自分の手札に加える
4手札を引いた結果同じ数字、記号の組み合わせができれば、手札から外す
53-4を繰り返し、最後に組み合わせのできないジョーカーの札を残したものが負け
同じように、今度は「ももたろう」のストーリーを説明してみます。
1昔 山の中におじいさんとおばあさんが暮らしていた
2おじいさんが山に行き、川に流れる大きな桃を見つけて持ち帰る
3桃の中から子供が出てくる
「ババ抜き」にしても「ももたろう」にしても、まず「前提」から説明しています。
それがどのように展開して、最後はどうやって終わるのか、時系列で「出来事」を並べています。
これがいわゆる「起承転結」という、ストーリー作成の一つの法則です。
ストーリーが浮かばない、という方に是非試していただきたいのが、何かを作る手順を時系列に沿って書いてみることです。
クッキーやケーキといったお菓子づくりを例にしてみます。
1ボウルに小麦粉と、卵と砂糖を入れて混ぜる
2型に流して、上に干し葡萄を載せる
3オーブンに入れる
まずは「レシピ」のようなものが出来上がります。
そこに、「誰が」「どうして」という要素を入れてみます。そのクッキーは誰が作ってるのでしょう?
お母さんと女の子、それとも森のリス達?
では彼女らはどうしてそれを作っているのでしょう?
誰かにプレゼント?
病気のおばあさん?
森のリスたちは、クッキー屋さんでも始めるのでしょうか?
イメージが広がってきますよね?
さてそこで、もういちど「レシピ」に戻ってみます。
そして書き直してみます。ボウルをかき混ぜるのが、小さい女の子には大変かもしれません、リスならなおさらです。
そうすると、一つ一つの出来事が少しづつ変わってくきます。
大事なところでお母さんは出かけてしまい、女の子ひとりになるかもしれません。
リスはどうやって火を起こすのでしょうか。出来上がったものはクッキーでもケーキでもないかもしれません。
そう、出来上がったのはあなたの「ストーリー」です!!
素敵なストーリーを完成させて、印象に残る絵本にしよう
ストーリーの作成方法をお伝えしました。
「絵本ならではの独特なストーリーをつくるのが苦手」という方もいるかもしれませんが、短いページ数でも絵本はイラストとストーリーを組み合わせることで、心に残る深い物語をつくることができます。
ストーリーがいい作品は、長く読んでもらえる作品になります。
絵を描くのが得意な方とコラボレーションして出版できるといったメリットもあります。
WORK(第4章で取り組む課題)
第4章(絵本)WORKシート
第4章1週目(絵本)解説動画スライド資料
第4章2週目(絵本)解説動画スライド資料
WORK1 テーマを考える
まずは絵本のテーマを考えます。年齢ごとに理解できる内容は異なるので、読んでほしい子どもの対象年齢を意識して考えましょう。
例えば乳幼児なら、食べ物や動物のような、色や形などを目で見て楽しめるような簡単なテーマにします。4歳〜6歳くらいなら主人公がお散歩をするといった簡単なストーリーが入っても理解できます。子どもの身の回りにあるものや、普段の生活などを見渡してみると、テーマが浮かびやすいでしょう。
WORK2 キャラクターを考える
次に主人公や登場人物などのキャラクターを考えます。人だけでなく動物や植物、物がキャラクターになることもあります。
キャラクターが決まったら「そのキャラクターはどんな行動を取るのか」を考えてみてください。散歩する、食べる、眠っている、遊んでいるなど、キャラクターを行動させてみるとストーリーが膨らみやすくなります。
WORK3 起承転結を意識してストーリーを考える「起」
登場人物が決まったらストーリーを考えます。
「起承転結」を意識すると話がまとまりやすく、子どもも理解しやすくなります。ストーリーの考え方には先に文章を考える方法と絵の場面を考えてから文章をイメージする方法があります。
さまざまな絵本を手にとり、実際のストーリーを学びながら考えてみてください。
「起」は舞台設定や登場人物の登場場面です。
WORK4 起承転結を意識してストーリーを考える「承」
「承」問題や事件発生のフェーズです。
WORK5 起承転結を意識してストーリーを考える「転」
「転」その問題や事件に対する解決策が登場する場面です。
WORK6 起承転結を意識してストーリーを考える「結」
「結」解決や結論です。