第1章の「自分の棚卸」では、自分の「人生の課題」や「くせ」に気付く章になります。
本を出版するためのHOWではなく、WHYの部分を掘り下げていく作業をまず行っていきます。
Contents
自分の「人生の課題」「くせ」に気づく必要性
本を書こうと思うと、多くの人はいきなり書いてしまいたくなると思います。
そうなると、『何を書くか』
ここがキーワードになると思うのですが、
『何を書くか』ということは、『何を書かないか』ということにつながっています。
書くものを選ぶということは、書かないものを選ぶことです。
いきなりは自分の言いたいことを、バッチリ言えるような文章は書けません。
だからとりあえず、言いたいことを、あーでもない、こーでもないと思いつくだけのことをめいいっぱい、机の上に並べることから始める必要があるのです。
かい水よく
子ども会で、かい水よくに行きました。
海に入るとき、はだしだったので、すなの上は、ジッとして立っていられないぐらいあつくて、びっくりしました。海に入るとみずもぬるくて、ちょっと足が気もちわるかったです。 出典「縦横無尽の文章レッスン」村田喜代子著より
これは福岡の小学校二年生の子の作文なのですが、村田先生は導入部はとてもよく書けている、と言っています。
子ども会で海水浴に行ったら、浜辺の砂が熱かったので、驚きました。
水もなまぬるくて気持ち悪かった、というだけで、文章も普通です。
だけど、あなたがこういう内容を書くとしたら、どのように書きますか?
「子ども会で海水浴に行きました」
これだけでは、物足りないと思いませんか?
朝起きたら、海水浴日和で、絶好の天気だった。
誰と行った?
何に乗って行く?
お弁当は何が入っていた?
コンビニで買ったよ、何時に集合して誰と行った?
車の中でどんなお話をした?
最近の海は汚れて環境が悪くなった?
地球温暖化で海面が上昇している?
人は地球を守らないといけない?
考えたら考えるほどに、どんどん書くことが増えて、書き出しの部分からすでに頭がパンクしそうになります。
作文には、決められた枚数というものがあります。
だから、頭の中で思いついたものを次々と書き込んでいくわけにはいきません。
海水浴に行ってどうだったか?
作文はテーマに沿って書き進めないといけません。
弁当とか、環境問題とか、テーマに繋がるものでないなら、冒頭からわざわざ書き込む必要はありません。
大事なので、もう一度言います。
『何を書くか』
ここがキーワードになります。
『何を書くか』ということは、『何を書かないか』ということにつながっています。
書くものを選ぶということは、書かないものを選ぶことです。
いきなりは自分の言いたいことを、バッチリ言えるような文章はかけません。
だからとりあえず、言いたいことを、あーでもない、こーでもないと思いつくだけのことをめいいっぱい、机の上に並べるのです。
このやり方はその人にあったやり方でやればいいとは思うのですが、そのためには、まずは頭にある思っていることを出来るだけ、出す必要があります。
それが棚卸しです。
先ほどの小二の男の子の作文は、その日の天気も、弁当も、乗り物のことも書きませんでした。男の子が「起承転結」の「起」の部分で書いたのは、海に行ったら浜辺の砂が裸足の足に熱かったという驚きと、水がぬるくて気持ち悪かったということ。
それだけを選んだのです。
初めて行った海の体験を二つだけ、最初に並べました。
考えが通っているところが素晴らしい、と出典の本を書かれた村田先生は本の中で述べています。
では、この作文の続きです。
でも入っているとだんだん気もちよくて、うきわにのってふわふわういたりしました。うきわにのっていると、なみがきたら「ボワーン」とすなはまの方にながされて、何だかとても楽しくて、何回もしました。海の中には、きみどり色のわかめがたくさんうかんでいました。手でとってみると、すごくにゅるにゅるしていました。さわっている手もにゅるにゅるして気もちわるかったけどおもしろかったです。わかめを友だちになげたらもっとおもしろそうだったので友だちのかなちゃんになげました。かなちゃんは、
「きゃあ」
と言ってにげました。みんなもわかめをなげっこしていました。
出典「縦横無尽の文章レッスン」村田喜代子著より
「起承転結」の「承」の部分です。
書き起こした文章をぐっと広げました。
ここでは男の子が遊んだ楽しい場面が選ばれています。
友だちに投げたワカメ。
でも男の友達には投げなくて、女の子に投げているところにも注目です。
「きゃあ」
というかなちゃんの悲鳴は、改行で特別扱いされています。
浜辺の熱さや、海水のなまぬるさ、ワカメのぬるぬるとした感触も描き逃さない。
村田先生はこのことを以下のように語っています。
海もプールもどちらの水も生ぬるいが、海水は微妙に柔らかく、ねっとりしている。この子の「気持ち悪い」には、子どもの語彙で語ることのできない触感がこめられているようだ。
次は「転」です。
海でおよいだあと、ふねにのりました。風がびゅんびゅんきてすごかったです。ふねが通ると、海の水がどんどんうしろにながれていって、海がふねをよけているみたいで「おもしろいなぁ」と思いました。ふねのうしろは、海の水がわいているみたいでした。水がこゆい白にみえました。
「転」は映画でいえば、クライマックスです。文章でいえば、山場です。
船遊びの船はモーターボートなのでしょうか?
その船が通ると海水はどんどん後ろに流れていって、海が船をよけているようだ、と描いています。
これは立派な描写の文章になっています。
好奇心いっぱいな目で世界を見つめていて、さらには、船の後ろは海水が湧いているようだとさらに書き足しているのです。
それだけではありません。〈水がこゆい白にみえました〉ともうひとつ追加しています。
〈ふねをよけているみたい〉〈海の水がわいているみたい〉〈こゆい白にみえました〉と重ねることで、自分の感じていることを書き尽くした感じですよね。
海でおよいだり、ふねにのったりして、とても楽しかったです。また行きたいです。
こうして「結」の一行がきて終わりました。
あなたは、この文章が優れていることがわかりますか?
一見なんでもなく見える小学校2年生の男の子の文章の深味を読み取れるようになったら、自分の文章力の上がります。
それには、まずは読むことに慣れることが大事かと思います。
ここで、本を書くに当たり、自分の「人生の課題」「くせ」に気づく必要があるかについて説明します。
良い文章というのは、すらすらと読めますよね。
よくない文章はあちこちで引っかかり、疑問や矛盾が頭の中でよぎり出すと止まらなくなってしまって、なかなか前に読み進めることができません。
さらっと読める文章は、さらっと読めるだけに、読み飛ばさないように気を付けてください。
良い文章と出会っても、自分が良い文章を書けなければ、読んでもなかなか気づくことはできません。
どんなものがよい文章なのか。
よくない文章なのか、わからないと思います。
だけど、それでも一行ずつ手に取るように説明して行くことができれば、ゆっくりでも理解できるようになるのかもしれません。
とはいえ、いきなり執筆は始めてはいけません。
なぜならば、人はテーマが決まっていたとしても、書くことは頭の中で整理できていないからです。
テーマだけを決めて書き始めても、整理できていないがために、本にはなりません。
そのために、まずは自分が書きたいと思うことを整理してあげる必要があります。
下記のWORKを取り組んでみましょう!
WORK(第1章で取り組む課題)
行動することが最も大事なこと! 本の出版でいうと、書き続けることです!
それを習慣化していくためのWORKを用意しています。
ここの意図は、まずは現時点で本として書きたいと思っていること、本の出版に関する出来事を全部書き出して、整理をする作業です。
読み手に伝えるために、誰かに何が書きたいかということがプレゼンテーションができる状態にすること。
それをやりつつ、ご自分の棚卸しもしていただきます。
当講座では、皆さんが最後までプログラムを終了できるようにするために、バディ制をお願いしています。
初めからはなかなか難しいかもしれませんが、バディに自分自身のWORKを共有し、フィードバックをもらうようにしてください。(推奨)
WORK1 本に書きたいと思うアイデアを書き出す/1日目~4日目
・本を書きたいと思ったきっかけを書き出してください。
・本にしたいと感じている現時点でのアイデアを書き出してください。(箇条書きでOKです)
・自分自身はどんなことをしていきたいのか?今まではどんなことをしていたのか、を書いてください。
※すでに原稿を書いている方や何を書きたいかが決まっている方も初心に戻り行ってください。
書き方は箇条書きでOKです!うまく書く必要はありません。自分が何を書きたいのか?を整理するために行います。
WORK2 そのアイデア、テーマについて日記を書く/5日目~出版まで
書き続けることを習慣化していく。
まずは自分自身の思い描いていることを文字にして、見られることを習慣化していきます。
寝る前や一日の中で時間ができた時に行うといいと思います。
・「WORK1」の内容・テーマ・アイデアについて、今日思ったこと、感情が動いたことを日記として書く。
上手く書く必要はありません。
毎日、5分~10分は自分の感じたことを文章にするようにしてください。
また、この日記の中で日々書いたことが原稿のネタになることが多くあります。
WORK3 何を書くのか? 内容・テーマを整理する/週1回~週2回
日記を通して出てきた自分自身の想いや表現を、まとめメモに書き足していきます。
まずは簡単にできることから始めてください。
そして(最低)一週間毎に誰かに伝えられるような形(プレゼンテーションできるように)に箇条書きを文章にしていきましょう。
・アイデア+日記(何を自分は感じているのか?)、本当はどんなものを書きたいかをまとめる。
日記を書いていく中で内容を読み解いていくと、自分自身の「人生の課題」や「くせ」のようなものと必ず出会います。
それは人によって全く違うものですが、何かに引っかかっているような、同じ言い回しや、内容のものです。
「WORK2」の内容(日記)を読み解きながら、客観的な自分で、自分自身の内なるテーマを探してみましょう!
講座でもご説明しますが一週間に一回は「WORK2」を振り返り、自分自身の「感情的な部分」と「事実」の部分を分けて、
その内容を文章にしてまとめてください。
感情的な部分を表に出し過ぎてしまうと、
また、「感情的な部分」については、
人には、感情があるから、その出来事をジャッジする。そこを分ける練習をします。